遺贈による不動産の名義変更(所有権移転登記)をする際、遺言により遺言執行者の指定もおこなっておくのが望ましいです。

遺言執行者が指定されていれば、受遺者(遺贈を受けた人)と遺言執行者の共同申請により名義変更の登記が可能だからです。受遺者を遺言執行者にすることもできるので、遺言者の相続人など他人の協力を得ること無く登記ができるわけです。

もし、遺言執行者がいなければ遺言者の相続人全員を登記義務者として登記手続きをおこなうか、または、裁判所で遺言執行者の選任をしてもらう必要がありますので、いずれにせよ受遺者の負担が大きくなってしまいます。

遺言執行者の住所が変わっているとき

遺贈による所有権移転の登記申請を遺言執行者と受遺者が共同でする場合、遺言執行者の印鑑証明書が必要添付書類となります。この印鑑証明書に記載の住所と、遺言書記載の住所が異なる場合には、その変更を証する書面(除住民票、戸籍附票など)が必要です。

もしも、何度も住所を移転している場合には、遺言書記載の住所と、印鑑証明書記載の住所のつながりが住民票などにより証明できなければなりません。

ところが、他の市区町村に引っ越しをしてから5年間が経過すると、住民票除票の交付を受けられなくなることがあります。戸籍附票についても、転籍や戸籍改製がされてから5年が経つと、除籍や改製原戸籍の附票が廃棄されてしまうことがあります。

遺言書が作成されてから長い年月が経っている場合には、遺言執行者の住所が当時と変わっていることも多いので注意が必要です。

なお、相続人に「相続させる」との遺言による場合には、相続登記(相続による所有権移転登記)をします。このときは、相続する方が単独で登記申請をできますから、遺言執行者の有無やその住所などの記載が問題になることはありません。

参考 「遺贈による登記(遺言書記載の遺言執行者の住所と印鑑証明書記載の住所が一致しない場合)」(登研435号)

要旨 遺贈による所有権移転の登記申請を遺言執行者と受遺者が共同でする場合、遺言執行者の資格を証する書面として添付された遺言書に記載された遺言執行者の住所が添付された印鑑証明書の住所と一致しない場合は、その変更を証する書面の添付を必要とする。

問 遺贈による所有権移転の登記を遺言執行者と受遺者とが共同で申請する場合に、遺言書に記載された遺言執行者の住所が添付された印鑑証明書の住所と一致しない場合(住所変更による不一致・誤記による不一致)でも、遺言書記載の遺言執行人の生年月日が一致すれば他に変更証明等を添付する必要はないと考えるがいかがでしょうか。また、生年月日の記載のない場合は結論が変わるでしょうか。

答 生年月日が一致していても、住所の変更を証する書面を添付することを要すと考えます。