不動産登記の先例・判例

不動産登記実務に必要な先例・判例を集めました。司法書士高島一寛が自身の業務のために作成するものなので、元々の先例や判例の文言を改変している箇所もあります。ご活用いただくのは構いませんが、内容についてのお問い合わせ等はお受けしかねます。

1.不動産登記の申請手続き

登記申請人

登記権利者とは、登記上直接に利益を受ける者であり、登記義務者とは、登記上直接に不利益を蒙る者である(登記官に対し所要の登記をなすととを申請する公法上の権利は、登記権利者も登記義務者も各自均等に乙れを有する)。【大審判昭和2.12.7】

被相続人が生前に、相続人たるべき者の一人に贈与し、その登記未了のうちに死亡した場合には、当該贈与を受けた者及び他の相続人(即ち、共同相続人全員)が登記義務者となる(受贈者は、登記権利者及び登記義務者の双方の地位を有する)。【登研75.40】

遺言者が生前処分した財産の登記については、その相続人が登記義務者である。【登研92.39】

数人が共同で不動産の無償贈与を受けた場合の所有権移転の登記は、受贈者全員と贈与者とが共同して申請すべきである。【登研521.173】

登記権利者が登記未了のまま死亡した場合の登記の申請は、共同相続人中の一人において、全員のために行うことができる。【登研129.48】

売買(贈与)があったが、その登記未了のうちに登記義務者が死亡したためその相続人が登記権利者とともに売買(贈与)による所有権移転の登記を申請する場合、または登記権利者である受遺者と遺言執行者が共同で遺贈による所有権移転の登記を申請する場合において、登記義務者の登記簿上の表示に変更が生じているとき(または、錯誤があるとき)は、所有権移転の登記を申請する前提として登記名義人の表示の変更(または、更正)の登記を申請することを要する。【登研401.160】

被棺続人が生前売渡した不動産について、その相続人と買主とが所有権移転の登記を申請する場合において、相続人の一人が生死不明であるときは、他の相続人全員からの他に相続人はいない旨の申述書を添付して登記を申請することはできない。【登研419.88】

登記義務者の相続人から登記申請をする場合にも、その相続人の住所を証する書面の添付を要する。【登研532.127】

意思能力ある未成年者が不動産の贈与を受けた場合は、登記権利者として、未成年者自身が、(若しくは親権者が代理して)司法書士にその登記申請手続を委任することができる。【登研425.125】

登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受け、右手続に必要な書類の交付を受けた司法書士は、手続の完了前に登記義務者から右書類の返還を求められても、登記権利者に対する関係では、同人の同意があるなど特段の事情のない限り、その返還を拒むべき委任契約上の義務がある。【名古屋地判昭和57年2月10日】

遺贈による所有権移転登記の登記義務者は本来遺贈者(権利の登記名義人)であるが、その登記は登記義務者の相続人又は遺言執行者が登記義務者の代理人として申請するものと解すべきであって、遺言執行者が申請代理人となる場合も、相続人の代理人としてではなく、民法102条により直接登記義務者の代理人となるものである。したがって、遺言執行者からの登記の申請の場合には、相続人の記載を要しない。【登研115.45】

共同親権者の一方と未成年者とが利益相反関係にある場合は、特別代理人の選任を求め、当該特別代理人と他の親権者とが共同して代理行為をすべきである。【東京高判昭和33年6月17日】

親権者とその親権に服する数人の子との聞における遺産分割の協議には、未成年者一人ごとに各別の特別代理人の選任を要する。【昭和30年6月18日民甲1264局長通達】

登記手続き(一括申請)

甲が、A不動産につき(X債務担保の)乙名義の抵当権設定の登記をなし、次いで同一登記所の管轄に属するB不動産につき(Y債務担保の)乙名義の抵当権設定の登記を行った後、乙れら被担保債務(X・Y両債務)の全部を同時に弁済したようなときは、(便宜)同一の申請書により前記2個の抵当権の登記の抹消を一括申請することができる。【登研367.135】

同一不動産上に設定された債権者を同じくする数個の抵当権の登記の抹消は、登記原因及びその日付が同一であるときは、同一の申請書で申請する乙とができ、その場合に納付すべき登録免許税の額は1,000円で足りる。

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