保険金請求権の相続性

calc相続の方法に、限定承認という方法があるのをご存知でしょうか。相続人は死亡した被相続人の権利義務を承継するので、マイナスの面が多い場合もあります。被相続人に、資産があれば相続して財産を受け継ぎたい。でも、被相続人に多額の借金があり返済しなければいけない場合、受け継ぎたくはない。このように考えた場合、限定承認という手続きにより資産と負債をいったん清算します。負債のほうが多い時は、相続財産の限度で返済すればそれ以上の責任は負いません。逆に、清算した後プラスの財産が多ければそれを相続できます。

遺産を限定承認するという前提で、考えてみましょう。車しか財産を持っていない父親が、その自動車を運転しているとき事故で亡くなりました。ところが、その自動車は代金の支払いがまだ残っていました。なお、相続人は息子一人です。

息子は、財産として価値があれば車を相続します。でも事故で車は破損し価値がなくなり、自動車代金だけが残っていたらどうでしょうか。限定承認なので、息子は自動車代金の残額は支払わなくて良さそうです。

死亡保険金は相続財産なのか

ところで、車で事故を起こした父親は、傷害保険に入っており、保険金受取人の指定はしていませんでした。傷害保険の約定によると受取人は、「保険金受取人の指定がないときは、保険金を被保険者の相続人に支払う」旨の規定がありました。そこで、相続人である息子は保険金を受け取りました。自動車販売業者としては、この保険金から自動車代金の残額を支払ってほしいところです。この場合、損害保険金がお父さんの財産であれば保険金も相続財産として清算の対象になるはずです。

このような事例で、自動車販売業者が息子に「自動車代金の残額を、損害保険金から支払ってほしい」と提訴しました。これに対し裁判所は、損害保険金は保険契約の効力が発生した時から息子の固有財産だと判断しました。つまり、お父さんの財産ではないので相続財産には含まれないということです。そのため息子は、自動車代金の残額を支払わなくてもよいということになります。

参考)最高裁判所昭和48年6月29日判決

保険金受取人の指定のないときは、保険金を被保険者の相続人に支払う旨の条項は、被保険者が死亡した場合において、保険金請求権の帰属を明確にするため、被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解するのが相当であり、保険金受取人を相続人と指定したのとなんら異なるところがないというべきである。

そして、保険金受取人を相続人と指定した保険契約は、特段の事情のないかぎり、被保険者死亡の時におけるその相続人たるべき者のための契約であり、その保険金請求権は、保険契約の効力発生と同時に相続人たるべき者の固有財産となり、被保険者の遺産から離脱したものと解すべきである

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