無権代理人が本人を共同相続

kataguruma相続人は、死亡した被相続人の財産上の権利義務を承継します。相続人が複数いるときには、財産はそれぞれ分割することになります。しかし、権利や義務の中には分割できないものがあります。

代理人として頼んでいない人が勝手に法律行為をした場合、無権代理といい本人に効果が及ばないのが原則です。例えば、息子が父親を勝手に友達の借金の連帯保証人にした場合を想定してみましょう。連帯保証人にされた本人の父親は、息子に代理権を与えた覚えはないので拒絶することができます。その代り、勝手に父親を連帯保証人にした息子が無権代理人として責任を負う事になります。

では、父親が死亡し息子一人が相続人だった場合どうなるでしょうか。父親は、「連帯保証人になってもよい。」とも「連帯保証人にはならない。」とも意思表示しないまま死亡しました。息子は、無権代理人として勝手に父親を連帯保証人にしたわけですが、相続人としてその父親の権利義務も承継しています。

この場合、父親本人が連帯保証人になったのと同じように考えて良さそうです。そこで、無権代理人が単独で本人を相続した場合、本人が自ら法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じると考えられています。すなわち、無権代理行為は相続により当然に有効となります。

しかし、無権代理人である息子の他に相続人がいたらどうでしょうか。父親の妻、つまり息子にとっては母親も共同相続人として存在したとします。息子が無権代理人だからといって、母親まで無権代理人と同じように責任を取らされるのはちょっとかわいそうな気がします。

もちろん、相続人全員が承諾すれば無権代理人が単独で相続した場合と同じように考えても良いでしょう。しかし、そうでない場合無権代理行為が当然に有効にはならないと考えられています。父親が連帯保証人であったことを認める(追認)のは、相続人全員で行わない限り、息子(無権代理人)の相続分に相当する部分においても当然に有効になるものではないと考えるのが適当と言えます。

最高裁平成5年1月21日判決

無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において、無権代理行為を追認する権利は、その性質上相続人全員に不可分的に帰属するところ、無権代理行為の追認は、本人に対して効力を生じていなかった法律行為を本人に対する関係において有効なものにするという効果を生じさせるものであるから、共同相続人全員が共同してこれを行使しない限り、無権代理行為が有効となるものではないと解すべきである。

そうすると、他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をしている場合に無権代理人が追認を拒絶することは信義則上許されないとしても、他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではない。

以上と同旨の見地に立って、被上告人Bが無権代理人としてした本件譲渡担保設定行為の本人であるDが死亡し、被上告人Bが他の共同相続人と共にDの相続人となったとしても、右無権代理行為が当然に有効になるものではないとした原審の判断は、正当として是認することができる。

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